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4月 2, 2015

DOE、HPCの才能ギャップを繕う

HPCwire Japan

Tiffany Trader

HPC関係者を1部屋に集めると彼らが人材不足を悲しむまでに時間はあまりかからない、十分に訓練されたHPC労働力の需要とその職を埋める適格な候補者の数との間にはギャップがあるのだ。この話題への着目にも関わらず、このHPCの才能のギャップは国家のリーダーシップの可能性と同じ意味であると益々理解されてきている領域でのとげとなってきた。そしてこの問題が産業界と政府の境界を越える一方で、技術革新と発見のためのテストベッドであるとは言わないサイバーや核の安全保障のようなセンシティブな分野を含んだ使命の重要性によって、エネルギー省(DOE)は懸念すべき理由が他にもある。

連邦政府資金によるDOEセンターの科学技術計算の重要性を考えると、DOE科学部は、高度科学計算諮問委員会(ASCAC)を任命し、この不足の原因とこの傾向を逆転させる最も可能性の高いソリューションを識別することで、この問題をさらに探るようにしている。. ニューオーリンズで開催されたSC14において、ASCAC分科会の議長であるヒューストン大学のBarbara Chapmanは、26ページの報告書にさらに詳述されている主要な調査結果と提言を明らかにした。

この研究の著書達は、国立研究所、大学のコンピューティング・プログラムや労働力の備えに関する以前の報告書からデータを収集し、この課題の異なる次元に光を当てているいくつかの関連動向に注目している。最初の発見では、すべてのDOE国立研究所が研究所の使命に関する計算科学分野における労働力のリクルートと維持の課題に確かに直面するという疑いが明らかになることを確認している。DOEの従業員の多数が今後10年で引退すると予想されているこの状況は、さらに問題になる可能性がある。

人材不足の主な要因は、米国市民や女性そして特に過小評価されているマイナリティの計算科学卒業生の不足だ。例えば現在、博士号を授与するコンピュータサイエンスのプログラムで大学院生の半分以上を占めているのは外国人だ。求人が掲載されてから埋まるまでの時間がすでに長い遅延時間を延ばす効果があり、そのため研究室が候補者を国際的に探すこととなっている。この報告書は、DOEの仕事を埋めるのに100日間掛かるのに対して、産業界では同様の求人は48から50日間かかると報告している。DOEの国家核安全保障局(NNSA)のようなケースで米国の市民権が必要な場合には、ポジションを埋めるのに少なくとも200日間はかかる。

この分科会はさらに人材のプールにおける多様性の欠如を報告している。コンピューティングの学位で卒業する女性の割合は計算科学においてたった17.2パーセント、すべてのコンピューティング博士号においてはも18パーセントである。ヒスパニックおよびアフリカ系アメリカ人の学生はコンピューティング博士授与者の4パーセント未満である。

調査によるともう一つの要因は、アルゴリズム、応用数学、データ解析とビジュアライゼーション、およびハイパフォーマンス・コンピューティング・システムにおけるしっかりとしたHPC基盤の代価として支持されている、人工知能やロボット工学のような「ホット」なトピックにおける専門分野の不均一な分布である。これらのスキルは、コンピューティング、数学や科学のスキルの組み合わせを必要とする学際的なものである。うまく設計された計算科学の学位や専門分野は全国の教育機関で行われているが、これらはまだ特別なプログラムで、この時点で不足をかなり改める程には十分には一般的ではないのだ。

コンピューティングの学位とHPC主題の中心への関心の薄れの両方の根本原因に対処する最も効果的なツールの一つは、啓蒙活動と採用だ。

この分科会は計算科学の労働力を強化するために重要であるとして、すでに設立されているDOE促進プログラムのいくつかを指摘している。成功した啓蒙活動の努力のリストには核科学と安全コンソーシアム・パートナーシップの5年プログラムが含まれている。原子力科学者の世代の育成に焦点を当て、このプログラムは設立依頼100人以上の学生に達している。Chapmanによると、DOE計算学研究科フェローシップ(DOE CSGF)は、配当を支払っているものの一つであり、複数の評価で非常に効果的であると評価されている。このフェローシップは、学際的な知識を学生にトレーニングし、DOEでのラボ体験を提供している。分科会はこのDOE CSGFプログラムの拡大と、エクサスケール・アルゴリズムとエクストリーム・コンピューティングのようなDOEの研究室のニーズに関連する分野での新しいフェローシップ・プログラムのモデルとして利用することを推奨している。

エクサスケール・コンピューティングのような現在と未来の方法論のニーズを満たす上で、既存のアカデミック・プログラムの不足を考えると、分科会はカリキュラム開発の取り組みに影響を与える目的で、大学院および学部レベルでのカリキュラムの能力ガイドラインを公開するDOEが支援するコンピューティングのリーダシップの大学院カリキュラム諮問グループの設立を推奨している。

大学やカレッジのキャンパスでの視認性を上げる重要性にフォーカスするだけでなく、「もっと多くの女性、マイノリティー、障害を持った人々、少数民族を率先的に採用し、指導し、CS&Eキャリアに積極的に参加してもらう機会を増やすために」他の機関と協業する必要があるという推奨事項もある。

分科会は、DOEの国立研究所が提供する興味深いキャリアの機会は増加する意識を持つ自然の吸引となることを指摘しており、研究室文化の要素は今日のモバイル世代によりもっと魅力的に見えるかもしれない。この点で、報告書は、継続的な移転支援、生涯に渡るプロフェッショナル開発およびサバティカル・プログラムのようなインセンティブを容易にするDOEの研究所における均一な措置を推奨している。そのような戦略を実行するためには、DOEは研究所の資金調達モデルと採用と維持の関係を検討する必要がある。

「これはスーパーコンピューティング・コミュニティ全体の問題なのです。」とこの報告書のDOE特集記事の中でChapmanは述べている。「国立研究所のミッションクリティカルな労働力のニーズを満たすには、多様性の欠如に対処し、もっと多様な学生数を引き付けるための啓蒙プログラムを設計するためのリーダーシップが必要なのです。」