世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


11月 11, 2013

ANL、 HPCとクラウドコミュニティのワークショップを開催

HPCwire Japan

Tiffany Trader

研究機関と産業界から30名の関係者が、研究分野の範囲内で、既存および新興のユースケースをサポートするクラウドベースのサイバー・インフラストラクチャの可能性を探求するため一同に介した。アルゴンヌ国立研究所が主催し、ノートルダム大学、Internet2とRackspaceが協賛したこのイベントは主要な研究機関、一流大学とその業界パートナーか ら参加者を集めた。

ワークショップの包括的な要約によると、Rackspaceのプライベートクラウド認定プログラム担当副社長、Paul Radは、研究コミュニティを推進する容易なコラボレーションとオープンスタンダードの方法を論議している。「数百人の研究者が共有を目的に貢献し、オープンで透明性の高い方法で共有問題を解決するとき、皆の利益となります。」とRadは書いている。

この会議は、クラウドベースのテクニカルコンピューティングについて熱心な会話を行っている研究コミュニティの存在を明らかにする。Radは、ビッグデータと高性能コンピューティングが攻守の交代をしている間、彼らは再び新たな課題をもたらすことがポイントになりうると言う。研究者はしばしば、予約寡多なマシンで長い待ち時間に直面する。そして、承認を取得するために数ヶ月間待機したとしても、ワークロードに十分な割り当て時間が取れるとは限らない。クラウドコンピューティングは、需要に応じたユーティリティ形式のリソースを獲得するための代替方法を提供する。

イベントの主催者でもあったRadは、また、その日の前半に現れた主な点のいくつかを提示した。

  • パブリッククラウドは、研究コミュニティの要件に対処するために設計されていない。
  • パブリッククラウドは、ネットワークとI/Oのコストを考慮にいれるまで安価に見える。その結果、技術的なコンピューティングは、多くの場合、ハイブリッドやコミュニティクラウドを必要とする。
  • 平均負荷のためのプライベートクラウドのプロビジョニングおよびピーク負荷のためのバーストは、ほとんどの経済モデルを提供するが、高エネルギー物理学などのデータセットへのアクセスは、ビッグデータのワークフローのために重要でありえる。
  • コミュニティとして協働することによって、我々は、より適切にスケールアップすることができる。例えば、コミュニティ所有のオープンクラウドに大学の連合や研究室の数を含めることが出来る。
  • 5~10年以内に、大規模なスーパーコンピュータシステムは、クラウド•プロバイダーシステムと収束するだろう。

これらの概念の幾つかは、午後のパネルで再び見られた。「クラウドのベストプラクティス」のセッションには、3つのケーススタディの概要が含まれていた。

ケーススタディ#1:テクニカルクラウド運用の教訓 – Narayan Desai(アルゴンヌ国立研究所)

ケーススタディ#2:高エネルギー物理学のためのオープンクラウドによるキャンパスで、研究室、および商用研究基盤のブリッジ – Paul Brenner博士(ノートルダム大学)

ケーススタディ#3:OpenStackベースの高性能クラウド – Rajendra Boppana(UT、サンアントニオ)

グループはまた、直ちに行動するために選ばれている2つのインキュベーション・プロジェクトのための幾つかのアイディアを考え出した:

・ノートルダム大学、Internet2、Rackspace、UTSA、MITとCycle Computingが率いる高エネルギー物理学等のクラウドバースト型科学アプリケーションのためのビッグデータ・リーチバック

・アルゴンヌ国立研究所、シカゴ大学とNimbus Services Workが率いるビッグデータ・スケールアウト型ストレージ・アーキテクチャ

これらのプロジェクトに関する作業は、継続的な共同作業になる。SuperComputing 2013とテキサス州サンアントニオでのWCSC 2013でこのグループが打ち合わせを行なう予定がある。

このイベントでもたらされた強力なメッセージの一つは、オープンなコミュニケーションとコラボレーションへの認識だった。閉会挨拶のビデオでアルゴンヌ国立研究所の主席システムエンジニア、Narayan Desaiは、この見解を述べた。

「私は、本当に共感しました。」とDesaiは言った。「既にこのトピックの周囲に形成されている大規模なコミュニティはありません。多くの並列化された会話があった一方、誰もが独力で働いているように思えました。この会議で本当に私を興奮させたのは、技術的なワークロードのためにクラウドを構築するアイディアの周囲にコミュニティを具体化する可能性でした。 」

この重要な会議の詳細については、Internet2のTodd Sedmakが主要な成果とアクションアイテムについての簡潔な記事を用意する。これらのステップの1つとして、継続的な共同作業のための計画/綱領を策定する予定である。