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1月 16, 2019

【筑波大学】未知同位体の計算核データ「さわれる核図表」を公開

HPCwire Japan

国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター 中務孝教授らの研究グループは、数千種におよぶ原子核に対して大型数値シミュレーションを実行し、核変換における新しい核変換経路を見出す基礎となる計算核データを整備した。原子核の構造・反応を汎用的かつ普遍的に記述することができる密度汎関数理論を用いた数値シミュレーションにより、数千核種における基底状態の構造データ、数百核種における励起状態・光反応断面積の情報を取得し、理論計算核データとして整理したもの。

これまでは、必要な計算量があまりに膨大になってしまうため、いくつかの対称性を仮定する制限を設けて計算を行っていた。今回、計算量を大幅に削減できる計算手法に基づく密度汎関数計算プログラムを開発した結果、対称性を一切仮定しない計算が可能となり、軸対称性や鏡映対称性を持たない未知の原子核の存在やその性質を予言することに成功した。この成果により、様々な核反応断面積を計算する上で必要となる核構造データを提供することが可能になる。

核図表上のほぼ全域にわたる核種についてこれらのデータをまとめ、ウェブサイト「InPACS」(Interactive Plot of Atomic nuclei & Computed Shapes)を立ち上げ、データのダウンロードなど専門家のニーズに応えるだけでなく、一般向けに作成した「さわれる核図表」から、個々の原子核の形状や密度分布などを分かりやすく提示した。


ソース:筑波大学