サイバーセキュリティ用に量子ビットを操作する
Carlo del Mundo
量子コンピューティングはサイバーセキュリティー基盤の改善を約束している。オンラインバンキングなどで使われるセキュリティ・アルゴリズムは数値を因数分解するような基礎的な操作が必要だ。セキュリティを改善するにはより大きな数値が必要であり、結果的に演算要求が相当に増加する。
ミシガン大学、物理・生物物理の電気工学およびコンピュータ科学の教授であるDuncan Steelは、サイバーセキュリティのコンテキストにおける量子コンピュータ技術を開発している。「この種の課題はクリティカルです。」とDuncanは指摘する。「さらに防御が必要ならば、さらに多くな数字が必要です。」
伝統的な演算においては、ビット(0と1)は原子レベルの表現である。量子コンピュータにおいては、量子ビット(またはキュービット)はアナログな表現である。キュービットは0または1の値、もしくは0と1を重ね合わせたものである。これは、キュービットが0、1またはその間の任意の数字であると仮定することもできる。
Duncanはキュービットの関係を、バイオリンの弦で音楽を演奏することを例にとって説明する。バイオリニストが演奏する際、バイオリンの音は純粋な音色を生成する。同様に2番目の音を演奏すると、もうひとつの純粋な音色が生成される。これらの2つの音が音階的に十分に近く同時に演奏された場合、各々の音は2つの音の間の位相関係が伴って生成される。
情報の伝搬にワイヤーを使う代わりに、Duncanと彼のチームは情報の操作をレーザーでてこ入れする。Duncanは1秒の1兆分の1のタイムスケールでキュービットを操作する非常にデリケートな性質について指摘する。
この技術は相対的に未熟ではあるため、Duncanは量子コンピュータをデスクトップやラップトップコンピュータの中へ入れるようなことは予想していない。この技術は数字の因数分解のために構築する訳で、ビデオゲームのような一般的なアプリケーション用ではないとDuncanは主張する。