世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 25, 2014

クラウド、HPC/HTCの学生研究を支援

HPCwire Japan

Jose Luis Vazquez-Polett

通常、高性能と高可用性などの用語は、大企業や機関によって対処されるが、しかし本当の変革が大学の教室から現れるように、何かが過去数年にわたって変わってきている。Madrid Complutense大学のコンピュータアーキテクチャの助教授、Jose Luis Vazquez-Poletti博士は、彼の学生によって行われている有望な仕事の幾つかを説明する。

クラウドコンピューティングは、HPCとHTCの分野での研究のために信じられないほどの発展を表している。学生の採用は、この技術のおかげで増加し、それに応じて、そのクラウド対応技術に焦点を当てた多くの学生を世界規模で持っている。

修士論文プロジェクトは、学生のための最終的な挑戦であるだけでなく、それはまた、彼らの活動にスポットライトを当てる絶好の機会でもある。これは、彼らが大学を離れた後、興味深い仕事の機会を呼び寄せるために大変重要である。技術的に優秀な従業員を要求する企業は、その採用プロセスでこれらのプロジェクトに候補者として最先端技術での彼らの能力を簡単に披露することができる完璧な仲間を迎える。

年々、私の学生は、クラウド内に彼らの修士論文プロジェクトを最大限活用するための強力なツールを発見している。このオンデマンドの資源は、HPCとHTCでの実生活の問題を処理するための信じられないほどのフレームワークを簡単に開発することを可能にする・・・たった1学年内で!

今年、私は上記に述べたことの代表的なもので、幾つかの興味深いプロジェクトへ助言できることを光栄に思っている。特に、これらのプロジェクトは、最近のメディアの見出し記事となる3つの重要な分野に対応している: 通信セキュリティ、緊急医療サービスとP2Pデジタル通貨。

公共クラウド基盤上のオンデマンドで安全な電話会議(2012年から2013年)

クラウドへHPCとHTCのアプリケーションを移行する主な障害のひとつはセキュリティである。どのようにインターネットを介して我々のデータが移動するのか制御出来ず、そしてそれらに誰がアクセスできるのか知ることもできず、ユーザーが公共クラウド移行戦略を適応することに消極的になる。インターネット上での通信は、ユーザーが盗聴や傍受の影響を受けない安全な方法で通信する必要があることのある具体例である。

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Bernardo Pericacho、コンピュータサイエンス研究におけるUCMマスター

 

このプロジェクトは、我々の教員が提供するコンピュータサイエンス研究での修士課程の間に私の学生だったBernardo Pericachoによって実施された。彼は、インターネットのような安全でない環境でのセキュリティ侵害やボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)での攻撃に対処するために、電話会議セキュアクラウドVPNアーキテクチャと隠蔽電話会議サーバークラウドアーキテクチャのクラウド上に展開された2つの新規の安全な遠隔会議アーキテクチャを提案した。

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公共クラウド基盤プロジェクト上のオンデマンドで安全な遠隔会議が提案するアーキテクチャの図

 

加えて、決定木によって表されるモデルが提案され、公共クラウド上に安全な電話会議サーバーを設置するときに、アーキテクチャと基盤が自分のニーズに合った最高のものであるか、ユーザが簡単に決定することができるものとした。

CloudMiner(2013-2014、継続中)

発掘されたビットコインや他の多くのデジタル通貨のひとつがHPCが通貨政策を行う良い例であると誰も主張しないだろう。異種の発掘装置や監視されていないメンテナンスコストがあったときに問題が生じる。この課題は、全員がコンピュータサイエンスで修士論文を行っているTomás Restrepo、Juan ArratiaとArturo Parejaによって取り上げられた。

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CloudMinerチーム:マドリッドの探鉱技術博物館でのTomás Restrepo、Juan ArratiaとArturo Pareja

CloudMinerは、既存のハードウェアのより良い活用を目指すプロジェクトであり、仮想暗号通貨の発掘を通じて経済的な利益を達成する。主なアイデアは、クラウドコンピューティングリソースプールを作成することで、潜在的に異なるアーキテクチャの下に多様なマシンで構成される。このプールは、リアルタイムで監視され、ユーザーが利用可能な任意のマシン上の任意の時点でのマイニングの開始/停止することを可能にし、またそれらの現在の状況に関する情報を提供する。リソースの追加や削除(サポートされるアーキテクチャ)のような追加オプションもまた可能である。統計に基づく人工知能は、マイニングクラウドの自動制御を可能にするために使用することができる。これらの統計はまた、意思決定を支援するためユーザーに示される。

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CloudMiner機能を示す図

 

クラウド内のEMS(2013-2014、継続中)

緊急医療の世界では、すべての瞬間が貴重なものである。医療チームは、モビリティの必要性があり、彼らの能力を向上させる方法のひとつは、クラウドシステムに基づいたソフトウェアアプリケーションを活用することである。このアプローチは、それらを必要とするすべてのチームへプロトコルやツールを利用可能とする。これはまた、コンピュータサイエンスで修士論文に取り組んでいたAlejandra González、Ricardo ChampaとClaudia Monteroの出発点であった。

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クラウドチームのEMS:マドリードの異なる病院や医療施設でのAlejandra González、Ricardo ChampaとClaudia Montero

クラウド内EMSは、複数のプラットフォーム上で展開される’サービスとしてのソフトウェア’(SaaS)システムである。フレームワークは、サービスと継続的な介護に焦点を当てた経済的なソリューションを提供する。

クラウド内EMSにより、ユーザは緊急手術中に使用される医療用プロトコルを簡単に定義し、管理することができる。これらのプロトコルは異なる尺度を使用し、利用可能な医療品に応じて行動計画を提供する。もし与えられた医療製品が消耗またはその組成が変更された場合、ユーザは、その後で影響を受けたプロトコルを修正するための要求を行ない、サービスの有効性を増加させる。

それらが共有することができたとしても、各ユーザは自分自身のプロトコルのセットを有することができる。’サービスとしてのプラットフォーム’レベルでクラウドを利用することで、スケーラビリティと可用性の両方が保証されている。

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クラウド内EMSの特徴を示す図

緊急サービスの間、ユーザーはモバイルクライアントを介してプロトコルにアクセスし、インターネットが利用できない時には、その機能の大部分をオフラインで作業することができる。

チームは、現在、スペインのEMSの医療スタッフ、Manuel Vazquezと協力して仕事している。彼は、彼の知識を提供するだけでなく、現場でのクラウド内EMSのテストも行う予定である。

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Manuel Vazquez, クラウド内EMSチームで彼の専門知識を共有

未来のための未来

ここで説明した3つのプロジェクトは、共通するいくつかの側面を持っている。まず、それぞれが興味深い課題で仕事し、与えられた現実問題の解決策を提供する。

第二に、彼らすべてが、彼らが提案したアーキテクチャの土台として、クラウドを使用しており、必要に応じてHPCとHTCパラダイムの容易な採用を可能にしている。

第三に、そして最も重要なことは、これらのプロジェクトが学生によって実施されたことである。金融危機に基づく悲観論によって支配された世界では、学生が我々の最高の資産である。この資産に対して我々が大部分を投資する必要がある。

学生は、いったん教室を離れると、彼らが遭遇する厳しい状況を認識している。彼らはまた、アイデアだけが外の世界で生き抜くことを可能にすることを認識している。これらの例で見てきたように、彼らは多くのアイデアを持ち、そして私に非常に優秀な奴らだと言うことを許す! 彼らは、現実の中へこれらのアイデアを巡らせ、「HPC / HTC /クラウドシェイパー」の次の世代の地位を埋めるための技術にアクセスする必要がある。

さらに詳しい情報

プロジェクトの残りの部分について興味が? その後をhttp://dsa-research.org/jlvazquez/studentsで見てみよう。

著者について

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Jose Luis Vazquez-Poletti博士は、Madrid Complutense大学(UCM、スペイン)のコンピュータアーキテクチャの準教授であり、分散システムアーキテクチャ研究グループ(http://dsa-research.org/。)のクラウドコンピューティングの研究者である。彼は、EGEE(グリッドコンピューティング)や4CaaSt(PaaSクラウド)などのEU資金提供プロジェクトだけでなく、多くのスペイン国家イニシアチブに直接関与している(または、していた)。