世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


6月 9, 2014

「Workflow as a Service」はHPCを広げる

HPCwire Japan

Nicole Hemsoth

2008年頃の商用クラウド・コンピューティングブームの最初の波の頂点で、Brian SchottとRobert Graybillの2人のHPC産業の人物が、いかにクラウドがハイパフォーマンス・コンピューティングの仕事をサポートするか確かめるために顔を突き合わせた。それらの努力は、クラウドベースのHPCプラットフォームとアプリケーションのための「clearinghouse(手形交換所)」を開発することとなった。これは、企業やHPCセンターがSaaSやPaaSラインとしてソフトウェアを使うためのパッケージで、価格やサポートの違いを包み込むものだ。

Nimbisのようなサービスを提供することは当時、奇抜であり、とりわけ官公庁や企業のようにライセンス、規則、データアクセスと共同研究、そして複数の課題があるような複雑な環境においてはだ。さらに、世界のAmazonは独自の市場を構築するのに忙しかったが、これらはWeb 2.0で駆動されるアプリケーションでは重く、多くのHPCの負荷にとっては強固でないし、特殊性がなかった。最終的にAmazonのボックスにレンタル用としてHPCのインスタンスとGPUが搭載されたノードが追加されたが、ハイパフォーマンス・コンピューティング用、特に政府系研究機関のユーザ(また、中小サイズの製造業)のためのエコシステムとしては未だ開発段階にある。

GaryBillは政府による採用が最初は遅かったと指摘しているが、それ以来爆発的だ。特に、プライベート・クラウドの意味で。しかし、パブリック・クラウド環境も数多くのクラウド・サービス・プロバイダによる最近の開発に追従している。例えば、HPC用のアプリケーションやワークフロー・サポートの欠点にも関わらず、AmazonはGovCloudプログラム(基本ハードウェアおよびバーチャリゼーションを証明する)によって、独自に規制環境の課題のいくつかを解決しようとしている。

他では、OpenStackの有効化と他のクラウド・プロバイダによる努力への相当な投資についてGrayBillは指摘する。マイクロソフトはAzureパブリック・クラウドを使って、Nimbisサービスの顧客層が手を伸ばすことが期待できるクラウドの可能性を支援している。彼はOpenStackの将来について特に注目しており、条件を公平にし、クラウドを跨ぐアクセスとサポートを提供し、そして彼らが動かすアプリケーション・タイプのための安定した確認された基準を提供するような努力は、サポーターやコントリビューター(Nimbisもそのひとつ)の強固なコミュニティ無では数百万ドルかかっただろう、と指摘している。AWSやAzureにおけるこのようなOpenStackを使った開発でさえも、ライセンス管理、クラウドベースのアプリケーション用の複雑なワークフロー設計やユーザの定義プール内のセキュアな環境のサポートなど、いくつもの技術的ハードルがまだある、と彼は言う。

官公庁と製造業の両分野で幅広いクラウドの採用をきっかけにニーズが変化しており、この分野のための新しい世代のクラウドベース・アプリケーションの準備のために、この会社はこの1年、一種の静かな「ステルス・モード」に入っているとGaryBillは教えてくれた。政府は小企業の売上のほぼ75%程度を占めており、残りは製造業である。前進するための重点は、製造業やEDAやより広い商用市場セグメントを含む分野にに重点を置いて、これらの二つの数字を反転することであるとGaryBillは主張する。この会社のブルーカラーコンピューティングの提案は、Wolframツールの周りのものと同様に強固であるが、彼らはいくつかの新契約に続く新しい水平線を見ている。例えば、Nimbisサービスは空軍核兵器センターによって2年の契約を与えられ、DoDとその契約者がクラウド中のEDAを導くことを可能にする「信頼されたシリコン層雲」を開発する。

特にこの取引は、複雑なワークロード用のクラウドコンピューティングの利用が今では新しくはないのに、Nimbusのようなサービスがいかにまだ非常に適切であるのかを取り上げている。彼の会社は、セキュリティを念頭において規則高速された実体を必要とするEDAツール用のパートナーエコシステムだけを管理しているだけではない。また、管理、確認およびコンプライアンスに関する他の観点も扱っているのだ。

例えば、Nimbisは、データの全ての履歴を完全チェックできることを保証できるように、ワークフロー全体を監視および誘導することができる –サイトや利用者にどのように利用されたか、どのように協業または共同開発されたかの履歴 – 仮想的に、最初にデータがクラウドにロードされた時刻からチップ製造までのすべて。さらに、クラウド・コンピューティング利用の偉大な影の悪役のひとつであるライセンス管理(特にEDAのような非常に高価なアプリケーション分野)は、Nimbisで管理されており、ライセンスやさらには数カ月しか必要がないのに年間ライセンスのようなもっと悪者のための長期の調達手続きからユーザを解放している。

20140317-F1-1Nimbisが言うように、クレジットカードを持っていれば誰でも、完全に統合されたHPCプラットフォームや、モデリング・シミュレーションアプリケーションの技術計算市場で買い物ができ、また、「個別に製品の調達、インストールや保守のための大きな投資や、ライセンスやサービス契約の交渉のための長期の遅延をすること」無しに、これらの製品をオンデマンドで従量制課金で購入することができるのが利点だ。

GaryBillによると、これは特に製造業に適しており、仮想プロトタイプ作成におけるHPCレベルのモデリング、シミュレーションや解析を、必要であれば領域の知識の豊富なエキスパートの支援付で手頃な価格で探ったり利用するためのサービスとして利用できる。「我々はエンジニアリングや製造サプライチェーンの中小企業がHPCを採用する障壁を克服しました。」と、この会社は語っている。

Nimbisは、オハイオ・スーパーコンピューティング・センター(OSC)のブルーカラー・コンピューティング・プログラム、国立製造科学センターのグリッド・ポータルを含む多くの既存官公庁や製造業プロジェクトの技術パートナーであり、クラウドベースのWolfram、ANSYS、Abaqus、そして他のモデリングやシミュレーション・ツールを提供している。
かれらはまた、UI LabsやDoDの製造設計革新研究所やOSCのAweSimプログラム、さらに国中のプログラムのパートナーでもある。

2014年における製造業の成長と商業セクターの成長に加えて、Nimbisはパートナー・エコシステムの拡大を継続し、新しいアプリケーション領域と官公庁以外のユーザが選ぶISVの健全な選択の扉を開けるだろう、とGaryBillは語った。