世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 7, 2014

スーパーコンピューティングのエリートはアクセラレータに戻っている?

HPCwire Japan

Nicole Hemsoth

今年のTOP500がリリースされ解析されたが、いくつかの新たなトレンドについて少し戻って見てみたいと思う。ここ最近のリストにおいて我々の目を引き付ける要素のひとつは、新しいアクセラレータ/コプロセッサの選択肢が利用できるにも関わらず、2010年に始まって急激な増加を伴ったGPUコンピューティングの全体的な利用が顕著に横ばいであることだ。

このデータはアクセラレータ採用の点でアナリストが探しているものとずれている。例えば、IDCのハイパフォーマンス・コンピューティング・グループとIntersect360はどちらも現在もこの先数年もアクセラレータ/コプロセッサの強い成長があると見ている。IDCはこれらの技術を利用しているサイトの数が2011年の28.2%から2013年には驚くべき76.9%に急増しているとしている。彼らはまた、NVIDIA GPUとXeon PhiはHPCの顧客獲得レースにおける「首に首」であると述べており、「コプロセッサやアクセラレータの利用はまだ、それ本来のものよりも幅広く、それはこれらの新しいデバイスが多くのサイトに入ってきてはいるが、運用における計算でなく試験的な目的がほとんどである。」と指摘している。IDCはまた、民間のユーザはアクセラレータを大量に購入することはあまりないが、運用で使おうとしていると強調している。Intersect360での研究は控えめな予測をしており、アクセラレータはインストールベースの21%で利用されているとしているが、今の時点では評価が大きな採用における役目であることにIDCと同意している。

では、もしアクセラレータやコプロセッサの大規模な上昇が、そのような印象的な数字を持つアナリスト研究の中に方法を見つけているとするなら、何故、Top500リストにあるスーパーコンピュータのたった12%程度がそれらも使っているのだろうか?これらのシステムは最も実験的な環境であるのに。間もなくグラフをご覧頂くが、2010-2011年にスパイクがあり、特にGPUの完全な採用を示している。しかしその後は大きな増加はなく、ほぼ横ばいだ。

今年のTop500のすべてのマシンの中で62台がアクセラレータ/コプロセッサ技術を使っており、11月のランキングの53システムからは少し増えている。内、44台はNVIDIAのGPU(下図を参照)を使い、17台がXeon Phiをコプロセッサ/アクセラレータのオプションとして採用しており、さらに2台はAT Radeonカードを活用している。驚きはこれらのベンダー内訳ではなく、平坦な線がアクセラレータ付マシンを横切って伸びていることを強調したい。IntelのPhiがHPC市場への投入や、CUDAおよびOpenCLを取り巻くさらに進化したエコシステムなど、いろいろなオプションが取れるようになって来ている一方で、何故、もっと多くのスーパーコンピュータサイトがアクセラレータ付きのマシンを押し上げてこないのだろうか?

20140626-F1-AcceleratorGeneral

これら先細りにはいくつかの原因がある、とTop500リストの管理人であるErich Strohmaierは言っている。しかし間違いなく、それらのどれもが、GPUやXeon Phiのようなコプロセッサの悲惨な未来を綴っているのではない。

HPCにおける最もエキサイティングな技術分野のひとつが興味とは無関係であったかに関する、このキールでさえある物語の原因は、それが製品サイクルに合わせた調達サイクルの問題だからだ。数年前にリストは新しい技術でもっと劇的なスイングを見ることができた、それは調達がアップグレードオプションで守られており、最新もしくは最大の部分を待つために調達を遅らせることなく、ユーザが自信をもってシステムを掴むことができたからだ、と彼は述べている。それはおそらく何の驚きもなく来るだろう、そして2015年にはアクセラレータの採用は著しく上昇することを見ることになるだろう。(公的に我々が提案しているロードマップによるとそれが計画である)Knight’s Landingが市場に登場し、実際には正しいパーツを待っている多くのシステムを連れてくるだろう。NERSC-8の「Cori」システムの発表の中で我々が指摘したように、それらのユーザは、彼らのワークロードのためにオンパッケージのメモリにもっとも興味があった。そのため今の時点でシステムを購入する意味がないし、改造などもだ。大規模システム向けに保留中の製品発表など他のアナウンスもあるだろう。(CORALなどなど、推測だが)

しかしここで興味深いことがある。Top500リストは、調達を期待する製品と合わせることが可能なアカデミックや国家研究機関のスーパーコンピュータからのみ構成されているだけではない。マシンを守る違ったプロセスを持ち、ほぼ間違いなくもっとミッションフォーカス(金銭的に)された動機持っている民間のHPCユーザは今何をし、何を購入しようとしているのだろうか?アクセラレータ/コプロセッサ利用のシャープな上昇を持つアナリストのデータを見て、それは民間のシステムのことだからTop500 には影響はしないし、何が推測できる?と言えるだろうか? Top500の半分以上は民間のマシンで構成されているのだ。

これはいくつかのことを意味するかもしれない。まず、民間のユーザがプロダクトサイクルを待ったり、調達と結び付けることは少ないという我々の仮定が間違っているかもしれない。おそらく、誰もがこれについてコメントできるはずだ。しかし、それでさえも実際のLinpack対応の実装における増加はないし、それだから彼らは既にアクセラレータ/コプロセッサは評価済みで、直ぐには採用する価値を見出せず、実験から移動した可能性を示唆しているのかもしれない。なので、たぶんこれらの技術における「ハネムーン」段階は終わっており、Knight’s Landingの登場とNVIDIAが準備している来るべき技術で再燃した情熱だけかもしれない。(FPGAやOpenPowerに何が起きるかも忘れてはならない、排他的であることを意味してはいない)

いずれにしても、アクセラレータの採用曲線で実際に何が起きているのかについて競合する点がいくつかあるようだ。これに対する全てのもうひとつの議論はもちろんTop500であり、民間ユーザが彼らだけが選択した場合において、Linpackを実行し上位にランクされるシステムの膨大な数を数えていない状況においてもだ。すべてのスライドにおいて不完全であるこの採用状況について、我々はある範囲のデータを持っていることかもしれない。アナリストの数値はは研究グループ間を大きく異なり、Top500は横ばい状態を示しているが、誰もが想像するように、ベンダーに対しアクセラレータ/コプロセッサのビジネスの状況を尋ねれば、すべてが太陽と薔薇だ。

明るい話としては、ISCのTop500での2つの最終的な図があり、指摘しておく価値があるようだ。これは採用状態として関係がないが、性能と効率の両方の面で、これらの技術の価値に対する事例を示している。Erich Strohmaier提供の最初の図は、上位10スーパーコンピュータにランキングされているアクセラレータ付きのシステムの性能シェアを示しており、明らかにアクセラレータが高性能の鍵を握っていることを示している。10台中9台のシステムがGPUまたはXeon Phiを装備している。

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2番目の図は、GPUとXeon Phiシステムのグリーン性能を示している。

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我々はこの点について皆さんからご意見をお聞きしたい。多くが保留してるプロダクトサイクルをフォローして、再び上昇する2015年を待っているのが問題であるのか? それとも興味のピークまたは停滞が予測される結果を伴った実験なのか?
さらに、来るべきKnight’s Landingプロセッサやアクセラレータがチップ内に入るかどうか機密であるNVIDIA、IBM、AMDや他がやっている統合化がどうなるのか?