世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


4月 21, 2022

インド、ペタスケールのスーパーコンピュータ「PARAM Ganga」を発表

HPCwire Japan

Oliver Peckham

数週間ほど前に、インド政府は、設置の最終段階にある5つのHPCシステムを保有し、今年中に9つの新しいスーパーコンピュータを立ち上げると約束したばかりだ。インド政府の National Supercomputing Mission (NSM) は、インド工科大学 (IIT) Roorkee にペタスケールスーパーコンピュータ「PARAM Ganga」を配備することを発表した。

 
  PARAM Ganga
   

NSMの支援のもと、先進コンピューティング開発センター(C-DAC)が設計・委託した新システムは、1.66(推定ピーク)ペタフロップスを実現する。PARAM Gangaはすでに稼働しており、先日、NSMに関係するインドの技術機関の関係者が多数出席して開所式が行われた。このスーパーコンピュータは、IIT Roorkeeや近隣の研究機関のユーザーコミュニティをサポートするとのことだ。

興味深いことに、このリリースには、「このシステムを構築するために利用される主要なコンポーネントは、C-DACによって開発された固有のソフトウェアスタックとともに、インド国内で製造および組み立てられた」とも書かれており、インドにおける独立したスーパーコンピューティングのサプライチェーンを推進するというNSMの目標が支持されている。

システムのコンポーネントはまだ公表されていないが、Aninews.inによると、IIT Roorkeeの理事会会長であるB. V. R. Mohan Reddyが開所式で「PARAM Gangaの重要コンポーネント、例えば計算ノードのマザーボードや直接接触型液体冷却データセンターはインド政府のイニシアチブであるAtmaniar Bharatに従ってインドで製造されています」と述べたとのことだ。(「Atmanirbhar Bharat」は「自立したインド」と訳される)。

このコンポーネントが、インド国産のサーバープラットフォーム「Rudra」や高速インターコネクト「Trinetra」を含むかどうかは不明である。

この新しいリリースによると、NSMは「累積演算能力が64ペタフロップスを超える24の施設を建設し、配備する計画」だそうだ。これまでのところ、PARAM Gangaを含む11のシステムを配備しており、合計で約20ペタフロップスであるとリリースでは述べている。残りの13システムでNSMの新目標を達成するには、平均約3.4ペタフロップスが必要となる。先月、インド科学技術省が発表した2022年末までの24システムの目標は、2022年までにインドに73台のコンピュータを配備するというNSMの当初の目標(NSMが2015年に開始されたときの目標)を下回るものだ。

PARAM GangaがTop500にランクインする可能性は低い。1.66ペタフロップスがピークではなくLinpackだったとしても、2021年11月のリストで500番目のエントリーは1.65 Linpackペタフロップスになる。先月HPCwireが報じたように、インドにはTop500にランクインできるほど強力な公共スーパーコンピュータが3台ある。2018年にC-DAC Puneに設置されたAtos製のPARAM Siddhi-AI(4.6Linpackペタフロップス、102位)、2018年にインド熱帯気象研究所に設置されたHPE製のPratyushとMihirシステム(それぞれ121位:3.8 Linpackペタフロップス、228位:2.6 Linpackペタフロップス)である。