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6月 9, 2022

コーネリス・ネットワークス社、Omni-Pathの発展に向けた1800万ドルのNNSAファンドを獲得

HPCwire Japan

Tiffany Trader オリジナル記事(2022/05/04)

インテルのスピンオフ企業で、オムニパス・ネットワーキング・ポートフォリオを管理・開発するコーネリス・ネットワークス社は、エネルギー省国家核安全保障局(NNSA)との研究開発契約により、次世代ネットワークのロードマップ目標達成に大きく近づいたことになる。この契約は1800万ドルに相当する。

 
   

次世代ハイパフォーマンスコンピューティングネットワーク(NG-HPCN)プロジェクトは、NNSAの研究所とコーネリスが協力して、NNSAの科学技術ワークロードとハイパフォーマンスコンピューティング分野を広くサポートする次世代相互接続技術の設計と製品化を行うものである。このプロジェクトはローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)がNNSAの3研究所のために監督している。ローレンス・リバモア国立研究所、ロスアラモス国立研究所、サンディア国立研究所である。

LLNL のシニア・プリンシパル HPC ストラテジストであるマット・レイニンガー氏は、「HPC ネットワークは、我々のスーパーコンピュータにとって非常に重要な部分です」と HPCwire に語っている。「HPC ネットワークは、私たちのスーパーコンピュータと他の種類のコンピューティングプラットフォームを差別化するための最も重要な要素の 1 つです。私たちの目標を達成するだけでなく、米国市場全体で高い競争力を持ち、最善のソリューションを開発できるようにするためには、ネットワーク空間が必要なのです。一般に、高性能ネットワーク技術のための非常に競争力のある市場は、現在の状況だけでなく、エクサスケール後の時代にも移行する必要があるため、非常に重要です。」

 
   

コーネリス社は、今回の資金調達は、他の投資と合わせて、ソフトウェアとハードウェアの研究開発をカバーし、来年、400Gbps製品(OPA-400)を発売するための道筋をつけることになると述べている。コーネリス・ネットワークス社は2020年にインテルからOmni-Path製品群を引き継いだ際、Omni-Path 200をスキップした新しいロードマップを出したが、数週間後に一般提供を予定しているとコーネリス社が話したOmni-Path Express(OPX)を導入した。昨年もお伝えしたように、OPXはOpenFabrics Allianceの下で開発されたOpenFabrics Interfaces(OFI)をサポートする最適化されたホストソフトウェアによって実現される。

コーネリス社は、NNSAからの資金提供のターゲットとして、OpenFabrics Interfacesに基づくオープンソースのホストソフトウェアの実現、近日発売予定のOmni-Path 400Gbps製品群のネットワークシミュレーション能力の加速、そして同社の次世代スイッチングインフラの開発の3点を強調している。コーネリス社の共同設立者で最高経営責任者のフィル・マーフィー氏は、「我々はリバモアと緊密に協力して、ダイナミック・アダプティブ・ルーティングや混雑制御アーキテクチャなどの技術を使用して、トラフィック管理に最適な方法は何かを研究しています」と語っている。

 
  LLNLのRubyスーパーコンピュータは、核セキュリティとCovid-19の研究をサポートしている。
   

コーネリス社とリバモアは、すでに確立されたパートナーシップを築いている。ライニンガー氏は、三研究所コンプレックス全体で、インテル/コーネリスのOmni-Pathネットワーキング技術を使用するノードが15,000から20,000程度あると推定し、「Ruby」や「Magma」などの多くのクラスターを構成していると述べている。そして昨年秋、コーネリス・ネットワークス社は、NNSAのTri-Lab CTS-2契約の主要なネットワーキング技術パートナーとして選ばれた。リバモアは今年後半にコーネリスOPA-100ネットワーク搭載のCTS-2システムの納入を開始し、CTS-2で利用可能になったOPA-400製品も調達するオプションがある。また、コーネリス社のOPXソフトウェアの一般販売に先立ち、同ラボでテストも行っている。

今回発表された研究開発契約は、DOEのPathForwardプログラムなど、以前のECIプログラムの勢いを引き継ぐことを目的としたポストExascale Computing Initiative(ECI)投資ポートフォリオの一部として、NNSAのAdvanced Simulation Computing(ASC)プログラムによって資金提供されている。このプログラムでは、米国のエクサスケールコンピューティングのマイルストーン達成を支援するため、6つのテクノロジーベンダー(Omni-Pathの開発元であるIntel社など)に資金が提供されることになっている。

これまでのエクサスケールに特化した資金提供プロジェクトと同様、コーネリス社との共同設計は、DOEとNNSAのミッションを超えたインパクトを与えることを目標としている。

「私たちは、このプロジェクトから生まれる利益が、3つの研究所のASCプログラムだけでなく、大規模なHPCシミュレーションや、データ解析、さまざまなAIや機械学習の分野にも役立つと確信しています。できるだけ広い範囲に影響を与えたいと考えています」とライニンガー氏は述べている。