フランス、EuroHPC2番目のエクサスケール・スーパーコンピューターをホスト
Oliver Peckham オリジナル記事

スウェーデンのArrheniusシステムの発表に続き、EuroHPC Joint Undertaking (JU)は、ヨーロッパで2番目のエクサスケールシステムのホストとオペレーターを発表した。ジュール・ヴェルヌ・コンソーシアムは、GENCI (Grand Equipement National de Calcul Intensif)とCEA (the Alternative Energies and Atomic Energy Commission)に代表されるフランスと、オランダの国立スーパーコンピューティングセンターSURFに代表されるオランダで構成される。このスーパーコンピューターは2025年末までに配備される予定である。
先日の発表と同様、まだベンダーが決定していないため、詳細は不明だ。GENCIは、このシステムが1エクサフロップス以上の性能と「300PBの起動ストレージ」を持つことを確認し、「高速インターコネクトによって連結された複数の計算、プリ・ポスト処理、サービス・パーティションを提供するモジュール式でエネルギー効率に優れたアーキテクチャをベースとする」と付け加えた。GENCIは、このシステムは「ハイブリッド量子コンピューティングの実験的なパーティションを統合し、ヨーロッパの新しい主権技術を統合することができる」と付け加えた。
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提案されているエクサスケールシステムの一般的なアーキテクチャ 画像提供:GENCI/ジュール・ヴェルヌ・コンソーシアム |
このシステムは、CEAが運営するTGCC(Très Grand Centre de Calcul、「超大規模計算センター」)でホストされる。TGCCはパリのすぐ南、ブルイエール・ル・シャテルにある。昨年10月、EuroHPCはGENCI/TGCCをヨーロッパ初の量子コンピューターのホストに選んだ。
EuroHPCはHPCwireへの電子メールで、ジュール・ヴェルヌはコンソーシアムの名前であってシステムの名前ではないこと、システムの名前はまだ決まっていないことを確認した。
システムの総予算は約5億4200万ユーロ(〜5億9100万ドル)で、そのうち2億7100万ユーロはEuroHPC自身が、800万ユーロはオランダ文化教育科学省が、2億6300万ユーロはフランス政府が提供する。この莫大な予算は、スーパーコンピューターの取得費用と5年間の運用費用をカバーする。
GENCIによると、このシステムは、気候変動の影響モデリング、材料研究、エネルギー研究、低炭素輸送研究、生成系AIのトレーニング、個別化医療のための人体のデジタルツインの作成などに使用されるという。GENCIはまた、スーパーコンピューターの使用例として、大型科学機器から生じる「雪崩のようなデータ」についても特に言及している。
そのため、ジュール・ヴェルヌ・コンソーシアムは、欧州の研究者がエクサスケールシステムで使用するアプリケーションの移植と最適化を支援する。これには、France 2030 NumPExプログラムやフランスの研究機関ONERAやIFPENを含む他の組織との提携も含まれる。GENCIは、ジュール・ヴェルヌ・コンソーシアムはフランスとオランダ以外にも「他の国々を歓迎する用意がある」と述べている。
スウェーデンのシステムに関する報道の最後に示唆したように、フランスが主要なEuroHPCシステムをホストするとの発表は、EuroHPCのホスト国マップにおける明白なギャップを埋めるものである。フランスが選ばれたのは自然な成り行きだった。欧州連合(EU)におけるその知名度やスーパーコンピューティングの経験だけでなく、その有名な低炭素(主に原子力)送電網のためでもある。近年(特にヨーロッパで進行中のエネルギー危機)、EuroHPCは、エネルギーを大量に消費するシステムの低炭素運転を確保することに重点を置くようになっている。
先日の記事を読まれた方には申し訳ないが、これで33カ国が参加するEuroHPCは、15カ国で合計15システムが発表または設置されたことになる。他のホスト国には、ブルガリア、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、ルクセンブルク、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スウェーデンのペタスケールシステム、フィンランド、イタリア、スペインのプレエクサスケールシステム、ドイツのJUPITERエクサスケールシステムが含まれる。
より広く言えば、発表された、あるいは設置されることが分かっているエクサスケール・システムは、まだ1桁に過ぎないが、これで(我々のカウントでは)1つ増えたことになる。米国ではすでにFrontierというエクサスケールシステムが1台稼働しており、さらに2台(AuroraとEl Capitan)が来年あたり稼働する予定である。
今後数日から数週間のうちに、EuroHPCからさらに多くのニュースが発表される可能性はある。ペタスケールシステムの追加や、注目のJUPITER向けベンダーの発表などが考えられる。