HPC支出は「固く安定」している
Tiffany Trader
Intersect360リサーチのスタッフが第7回目のサイト予算割付マップを公開し、重要なトレンドに疑いかけるために、産業界、政府およびアカデミックサイトに渡るHPCサイトの支出のカーテンをはぎ取るものだ。全体としては主要なカテゴリ(ハードウェア、ソフトウェアなど)に渡って非常に安定した支出で強い年として特長付けられており、全サイトの59パーセントが次の2年間でさらなる成長を予測している。
過去5年間の調査のヒストグラムが7つのトップカテゴリに渡る支出の傾向を示している:ハードウェア、ソフトウェア、設備、スタッフ、サービス、クラウド/ユーティリティ/アウトソーシングのコンピューティング、およびその他である。サンプリングされたコミュニティは小規模のHPCや大規模スーパーコンピューティングサイトまで広がっている。
最も一般的な予算規模は「2百万ドル以上」と「10万ドルから499,999ドル」の層に分かれている。
最も顕著なのは、ハードウェアとスタッフのカテゴリがそれぞれ増加と縮小の時期の後に平準化している。過去3年間においては、ハードウェアへの支出は平均約45パーセントであり、スタッフ用の予算は21から22パーセントの範囲に留まっている。実際には、この安定性はすべてのトップレベルのカテゴリにおいて持続しており、2014年度の調査パターンを「固く安定している」と特徴づけるように著者を導いているのだ。
「ハードウェアに関しては、あなた方が見ている大きなことは、以前には我々がまだあるリセッションのレベルにあって、設備投資が制約され、予算のハードウェアの部分が高い30パーセント台に落ち込んでいるが、その後、過去3年の調査においては40パーセントの前半から中間くらいまで反発しているということだと思っています。そして、これは予算の割合としてはより正常な所であると考えています。」とIntersect360のCEOであるAddison SnellがHPCwireとの会話の中で語っている。
「スタッフはこのようなリセッションの間は高くなってきまますが、それは人を切るよりも早く他の支出を削減するからです。なるべく雇用を維持しようとするために、予算の大きな割合となってくるのです。」と彼は続けた。
Snellは、スタッフの数値が一定している理由が他にもあると考えており、それはソフトウェアにおける支配的な傾向に関連している:オープンソースだ。
「アーキテクチャ的な複雑度が上がってきているので、さらに複雑、またはさらに高価なライセンス体系が取り入れられるために、ソフトウェアの支出が増えていくだろうと言ったかもしれません。」と彼は語った。「しかし実際に業界では、商用ISVパッケージのソフトウェアの混在から離れ、もっとオープンソースなものを取り入れることで、この傾向の先を行っています。インハウスのソフトウェアをもっと開発するというのは、それらを行うスタッフを意味しているので、これら両方のドライバが人員の強化に影響しているのです。」
HPC用クラウドに進路を向ける
クラウド・コンピューティングのカテゴリとなると、高い関心が維持されているにも関わらず、合計支出の3パーセント辺りに留まっており、パブリッククラウドでは全HPC予算の1パーセントのシェアしか持っておらず、これまでのところクラウドはHPCにおいて確かな足掛かりを得ることには失敗している、とSnellは語っている。クラウドに少しでも支出しているユーザに関しては、HPCユーザの約1/3まで数は増えているが、そのほとんどが実験クラウド、バーストシナリオ、もしくは小規模な運用環境となっている。
クラウドにおけるHPC、特に運用レベルの商用クラウドは、バーストモデルまたは新規ユーザを超えての開発は遅れており、全体の予算の大きなシェアを取るには至らなかったが、2015年はついに変化の年となるかもしれない。
「真のクラウド支出においてはまだ突出したものが無い一方で、」とSnellは語る。「主にアカデミアと製薬からの成長の兆しがあります。しかし、例えユーザの何社かが非常にハイエンドにおいて、例えばクラウドに20パーセントも使うようなことを話していたとしても。私は直ぐにはクラウドが市場の10パーセントを取るとは思えません。」
「多くのユーザにとっては経済的なことに帰着します。」と彼は続けた。「一般的な想定ではクラウドで行うのは安いとされており、HPCの状況の大部分にわたって適用されることはないと私は考えています。少なくとも中程度の規模の最も確率されているHPCユーザは、物事をインハウスで安く、もしくはお金を払った誰かが同じワークロードを行うよりももっと安く行うことができると信じる傾向にあります。なので、問題は、クラウドでさらに経済的に物事を実行することができると人々が感じるところでそれがもはや適用されないということになり、それがアカデミアや製薬や政府に入っていくことなのです。」
その他の主なポイント(報告書より転載):
- ハードウェアは全体で最大の予算項目となっており、2014年には全HPC予算の45%を占めている。ストレージが続くサーバはハードウェアセグメントでの支出をリードしている。将来の予算の傾向を尋ねた際には、ハードウェアが予算変更の背後にある主要な原動力である。予算傾向に関して定性的な回答をしたサイトの50%が、その理由としてハードウェア支出の変化を報告している。約三分の二がハードウェア支出の増加を予測しており、三分の一が減少を予測している。
- スタッフは2番目に大きい経費として継続しており、サイトの22%を占めている。スタッフの平均支出は数年間の減少傾向の後に、過去3回の調査において安定している。システム管理および運用、続いてアプリケーション・プログラマ、そしてユーザ・サポートとサービスがスタッフ内の上位3つのカテゴリとなっており、スタッフ予算の71%を占めている。
- ソフトウェアは全体のHPC予算の13%のシェアを占めている。システムソフトウェアおよびソフトウェア・ツールはソフトウェアにおける支出の最大のシェアを持っており、合わせてHPCソフトウェア予算の47%を占めている。
- クラウド/ユーティリティ/アウトソーシング·コンピューティングは、全体のHPC支出においては非常に小さい割合であり、約3%のシェアである。クラウドコンピューティングの支出においては年々変動があるのを見てきたが、一貫した、もしくは有意な動きは上方にも下方にも見られない。
- 予算は1%以上の増加を予測しているのが全体回答者の59%あり、43%は5%以上の予算増加を予測している。民間サイトが最も楽観的で78%が少なくとも1%予算が増加すると予測し、66%が少なくとも5%増加すると予測している。アカデミアサイトの約19%が予算が減少すると予測しており、それは民間や政府系サイトよりも高いパーセンテージとなっている。
完全なレポートはIntersect360の顧客にのみ提供されており、エグゼクティブ·サマリーからリンク可能だ。