世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


2月 12, 2020

名古屋大学、今夏 富士通A64FXスーパーコンピュータを導入へ

HPCwire Japan

Tiffany Trader

富士通は2月3日、名古屋大学情報基盤センターに、理研のスーパーコンピュータ「富岳」(旧ポスト京)向けに開発されたArmベースのA64FX技術を搭載した最初の商用スーパーコンピュータを提供すると発表した。新システムは2,304台の富士通PRIMEHPC FX1000ノードで構成され、理論ピーク性能は7.782ペタフロップス、メインメモリ容量は72テラバイトである。

 
  Fujitsu PRIMEHPC FX1000
   

ArmベースのPRIMEHPC FX1000システムは、6つのラックに収容され、IntelベースのPRIMERGY CX2570 M5サブシステムは第2世代の Intel Xeon Scalableプロセッサ及びNvidia V100 GPUで構成され、82テラバイトのメインメモリを持つもう1台の7.489ペタフロップスの理論性能を提供する。
3台目の小規模システムはHPE SuperdomeFlexサーバで構成されるシステムで、さらに77.41テラフロップスが追加される。そして、富士通のUNCAIソフトウェア(PDF)が管理するHPE ProLiant DL560コンポーネントを含むプライベートクラウドシステムは、537.6テラフロップの理論性能を提供する。全体として、これら4つのシステムが提供する理論性能は、15.88ペタフロップスに達する。

名古屋大学情報基盤センターは、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)の一環として、公共・民間双方の計算資源を全国に提供する役割を担っている。富士通によると、この新しいハードウェアは2020年7月に生産に入る見込みだという。

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同センターは現在の3.2 ペタフロップス (2.9 Linpack ペタフロップス)を誇る2,880 ノードの富士通PRIMEHPC FX100クラスタからアップグレードする。4-5倍のコンピューティング能力の増強を提供するこの計画更新は、モデリングとシミュレーションに従事する研究者の需要に歩調を合わせ、全国のデータ科学ワークロードの導入を満たすために展開される。対象となる用途には、従来のHPCとAIの両方の能力を活用し、医療診断と薬剤治療の改善、自動運転技術、台風・地震・津波などの気象現象の数値シミュレーションなどを含んでいる。

 
   

名古屋大学情報基盤センター所長の森健策氏は、今後ますます高まるコンピューティング需要について、スーパーコンピュータが人々の生活の安全・安心に密接に関わる課題に取り組んでいくと述べた。「コンピューティングで消費され、生み出されるデータ、それらを結びつけるネットワーク、計算やデータから知識発見のための可視化は(すべて)重要だ」と述べている。

ストレージコンポーネントには、データダイレクトネットワークスジャパン(株)が提供するSFA18KE並列ファイルシステムと、富士通の大容量高性能分散ファイルシステムである富士通エクサバイトファイルシステム(FEFS)がある。合わせて30ペタバイトを提供する。ソニー(株)製の6ペタバイトの光ディスクアーカイブは、低消費電力、記録データの長期保存、研究データの高耐久性を実現している。

富士通は、理化学研究所と連携し、2021年の開始に向けて、A64FXをベースとしたシステムの2社のサプライヤーのうちの1社として「富岳」を立ち上げている。11月に明らかになったように、富士通と提携し、Cray (現在はHPEの一部)も、彼らのCS500ラインナップの一環として、2020年にA64FXのスーパーコンピュータを市場に投入する予定である。
Crayは、同社のシステムが2020年半ばにデビューすると述べたが、Stony Brook大学、理研計算科学研究センター、オークリッジ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、Bristol大学など多くの顧客を取り揃えている。

富士通は、本年3月に最初の商用A64FXシステムの出荷を開始することを示していた。富士通は、名古屋大学のシステムで使用されている液冷式、Tofu接続のPRIMEHPC FX1000ノードに加えて、より小型の空冷のInfiniBand搭載のPRIMEHPC FX700モジュールを提供している。

 
   

A64FXシステムの注目すべき側面は、パワー効率と同様にHBM2の高い帯域幅メモリによる高い計算効率である。SC19では、768ノードのA64FX CPUで構成される富岳のプロトタイプシステムが発表された。1ワットあたり16.88ギガフロープスのマイクロ富岳を、Green500リストのトップでニックネームでデビューされたものとして配信している。
これは、理論性能2.36ペタフロップスでLinpackスコアが2ペタフロップで159位でTop500に入り、84.75パーセントのLinpack効率を実現している。

富士通の次世代テクニカル・コンピューティング・ユニットのトップである新城直樹氏は、新記録「Green500」の設定を機に、最高のエネルギー効率を実現することが、アプリケーション性能の高さと使いやすさとともに、富岳スーパーコンピュータの三大開発目標の一つであると述べている。