7月 18, 2014
コンピュータで薬のタネを創る
西 克也
NPO並列生物情報処理イニシアティブ(IPAB、理事長:秋山泰、http://www.ipab.org)は、昨年度より行っていた、この種のコンテストとしては日本初となる「コンピュータで薬のタネを創る」の結果の発表と表彰式を7月17日に東京工業大学で行った。
このコンテストは、Human c-Yes Kinaseを標的蛋白質として、このリン酸化活性を阻害する化合物を約220万化合物のデータベースから探索することを評価の対象としている。応募者は候補化合物を120個以内まで提案することが可能で、各応募者から提案された化合物の上位50化合物と審査員が選択した100化合物を実際にアッセイ(分析、評価)して評価を行った。
コンテストに参加したのは10チームで、中央大学、OIST(沖縄科学技術大学院大学)、東京大学、ファルマデザイン社、名古屋大学、情報数理バイオ社、東京工業大学、未来創薬研究所、インド工科大学および医薬基盤研究所だ。各チームは各々の手法で候補物質を絞り込んだ。標的蛋白質の立体構造から、それに適合する化合物をドッキングシミュレーションで絞り込んだり、または既知のデータから機械学習を使って候補物質を絞り込む手法などを使っている。
実際のアッセで阻害化合物としてヒットしたのは7化合物あった。各賞の受賞者は次の通り。グランプリはヒット化合物をそれぞれ2個づつ発見した情報数理バイオチームと医薬基盤研究所だった。健闘賞として1個発見した、未来創薬研究所、OIST、名古屋大学およびインド工科大学の4チームであった。
グランプリを受賞した情報数理バイオチーム | グランプリを受賞した医薬基盤研究所チーム |
IPABでは来年度も同様のコンテストを開催する予定。