世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 7, 2013

カリフォルニア大学、新たなHPC装備で天文物理を加速

HPCwire Japan

Alex Woodie

サンタクルーズにあるカリフォルニア大学に最近納入された、 新しい60テラフロップスのスーパーコンピュータと1ペタバイトの高速ストレージ ・システムは、以前では考えられなかった天空をモデル化できるほどの計算と蓄積能力を宇宙物理学者たちに与えることになるだろう。

Phys.orgによれば、新しいスーパーコンピュータである”Hyades”は、376個のインテルSandy Bridgeプロセッサ、8つのNvidia K20 GPU、3つのインテルXeon Phi 5110Pアクセラレータ、13テラバイトのメモリで構成されている。このDELLコンピュータは、カリフォルニア大学高速宇宙計算センター(UC-HiPACC)に設置され、置き換えられた”Pleiades”と同じ設置面積と消費電力にも関わらず、10倍の能力がある。

おうし座の雄牛の頭部を形作っている星団の名前にちなんでつけられたこのシステムは、爆発中の星、ブラックホール、磁場、惑星形成、銀河の激変、ビッグバンの直後に起こったこと、といった宇宙の出来事をモデル化することに活用されるはずである。

おそらくHyadesよりももっと特徴があるのは、対になっている高速な1000テラバイトのストレージである。Huawei製Universal Distributed Storage (UDS) を元にした、ARMベースのアレイ・システムは、大型ハドロン衝突器からのデータを保管するためにCERNに設置されたのと同等のものある。国外の研究施設から送られて来る天文物理データを保管する最大規模の収納施設になると期待される。

巨大ストレージが必要なのは、事象発生直後に分析しなくてはならないデータをスーパーコンピュータ・シミュレーションが大量に吐き出して来るからだ、とUC-HiPACCのディレクターであり、物理学科教授でもあるジョエル・プリマックはPhys.orgで述べている。

“Huaweiシステムは、天文物理学の結果を保管するために使われるのだが、Hyadesからだけではなく、NASAエイムズやオークリッジ国立研究所といった大型の国立コンピュータで実施されるシミュレーションからも流れてくる。”と、プリマックは言う。”それらの施設からのデータは限られた時間だけ保管され、アクセスするにも制限がかけられる。そのため、我々はHuaweiストレージ・システムをローカル・サーバに保管できるのだ。”

Hyadesのコスト150万ドルは、NSFとキャンパスから集められた寄付による資金で賄われた。デルとインテルもハードウエアの値引きに応じた。このスーパーコンピュータは、応用数学、統計学、天文学、天文物理、地球惑星科学、物理学の専門家たちからなる、20学科、50人以上の博士号研究者、4学部の卒業生で構成されるサンタクルーズ理論宇宙物理学(TASC)グループにより利用される。

Huawei UDS システムは、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のバスキン工科大学のストレージ・システム研究センター(CRSS)に貸し出されている。NSFから支援を受けているアカデミックと企業の共同研究機関であるCRSSは、ストレージシステムの性能を研究する役割を担う予定である。